発達障害について
【はじめに】
新聞や雑誌などで発達障害ということばを目にすることが多くなりました。発達障害をもったお子さんの増加により、多くの地域で療育訓練施設が不足し問題となっています。過去に発達障害は家庭での養育・教育の問題が指摘されましたが、現在は否定的です。これまで様々な面から研究がなされていますが、原因など不明の点が多い病気です。
【発達障害の症状は?】
落ち着きがない。じっとしていられない。こだわりがある。ことばのおくれがある。目を合わせない。指示にしたがえない。呼んでも振り向かないなど。複数の症状が合併し、男の子に多い傾向があります。
【発達障害の種類は?】
おもな発達障害としては自閉症・広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神遅滞(知的障害)などがあります。これらは症状などの診断基準によって分類されています。
【発達障害かも?】
発達障害を診察する医師は増えていますが、まだまだ限られています。小児神経専門医、それらの疾患を多く診察している医師であれば、診断、アドバイスなどが可能です。これらの医療機関に受診してください。診察には時間がかかりますので、受診前に医療機関に連絡などされるとよいでしょう。
【検査は?】
母子手帳や家族の情報から乳幼児期の発達やことばの発達、こだわりなど発達障害の症状がないか問診します。診察時簡単な知能検査をすることがあります。それらの結果からおよその診断は可能です。必要があれば脳波検査や頭部MRIなどの画像検査を一度受けておくとよいでしょう。
【治療は?】
軽度の場合、年齢とともに症状が薄らいで日常生活に支障がない場合もあります。
保育園・幼稚園で集団生活に問題がなければ引き続き通園してください。症状が重い場合は、療育が可能な施設で訓練が必要です。また漢方薬やメチルフェニデート製剤などのお薬を服用して、症状がやわらぐ場合があります。
【合併症は?】
てんかん、脳波異常を伴うことがあります。年齢が長じるに従ってみられることが多いようです。
【Q&A】
Q1:うちのこどもは、落ち着きがありません。発達障害ですか?
A1:こどもはエネルギーに満ちていて、しばしば男の子は落ち着きがありません。指示に従える、コミュニケーションがとれれば、発達障害の可能性は少ないでしょう。心配であれば医療機関を受診してください。
Q2:発達障害を疑っていますが、専門医療機関は予約でいっぱいです。どうしたらよいでしょうか?
A2: 療育・訓練は専門施設しかできませんが、発達障害の診断・アドバイスができる個人のクリニックもあります。かかりつけのクリニックで相談し紹介してもらうか、インターネットなどで検索して専門医を受診されるとよいでしょう。
Q3:受診する医師によって診断が違います。なぜでしょうか?
A3: 自閉症、広汎性発達障害、ADHDでは症状が似ているところが多く、診断がむずかしいことがあります。また一部症状がオーバーラップしているところもあり、専門の医師でも診断が分かれます。ただ年齢が長ずるにしたがって診断がはっきりすることもあり、まだまだむずかしい病気です。